野球ゲームの始祖は「野球盤」だった。
いたってシンプル、いたってレトロ。
エポックメイキングなソフトが登場した。
「ベースボール」
選手名や実力差は無いが、セリーグ6球団を連想させ
る頭文字とユニフォームのカラーで、贔屓のチーム
を選んで遊んでいた。
当時はこれが最新且つ最高峰の遊びだと信じてやま
なかった。
が、1986年ナムコが度肝を抜くソフトを発売した。
阪神タイガースが優勝したバックスクリーン3連発の
1985年の選手データを盛り込み、選手の実力差を付
けるという画期的なソフト。
東尾のシュートや江川のカーブは反則級に曲がり、
バース、落合はバットに触れたらホームランという
エキセントリックな体感に少年たちは皆震えた。
阪神の代打の川藤がデータ以上に打つ仕様だったり
巨人の代打に変態級のポテンシャルの王がいたり。
の松永、大石、村上、ブーマー、門田、石嶺という
最強打線も印象的だった。
このファミスタで友達同士でノートに成績を付けて
「ペナントレース」と称して盛り上がった。
その後、ファミスタ87、88と続編が登場したが、
違うハード、PCエンジンのソフトとして発売された
それまでファミスタで培った繊細な技術とイメージ
をぶち壊す。
オールドリームスという隠しチームがあり、アニメ
で活躍した選手が登場し、実力はチート級。
オズマ、山田(ドカベン)、花形のクリーンナップ
に、ピノより速い速水、消える魔球を投げる星、
全変化球の数値がカンストしている里中。
幸町に住んでた友達の家で初めてプレイした時の
里中の変化球の曲がりと速水の足、オズマの打球が
今でも忘れられない。
これが初めての、カンスト破壊体験。
男は時に、カンストして、破壊して、メチャクチャ
にしてみたい、そんな願望を抱いている。