カトーのオモロいブログ

カトちゃんです。本業は看板屋です。ありのままの自分をさらけ出したいと思います。

ガンダーラ

杜子春

 

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日暮れに差し掛かったころ、杜子春という男が洛陽の門前で途方に暮れていた。栄華を極める都とは裏腹に、男はその日暮らしも困るほどの身に落ちていた。空を仰ぎながらぼんやり物思いにふけっていると、声をかけてくる老人がある。

思わず身の上を打ち明けると、老人は「夕日の中に立って、お前の影の頭の部分を掘ってみろ。そうすれば黄金がでてくるぞ。」と言う。いつの間にか消えた老人を不思議に思いつつも、杜子春は老人の言葉通り大金持ちになったのだった。


金を手に入れた杜子春は毎日ぜいたくの限りを尽くし、皇帝もかくやというほど遊びまわった。しかし、いつの間にか金は底をつき、友人も彼から離れていく。

再び洛陽の門で途方に暮れていると、あの老人が声をかけてくるではないか。先と同じ返答をする杜子春に、老人はまた黄金のありかを教える。だが、またしても杜子春はおびただしい金を使い果たしてしまうのだった。

3度、杜子春が洛陽の門前でたたずんでいると、やはり老人が声をかけてきた。再び黄金を指し示す老人に、杜子春は首を振って応える。人間に嫌気をおこした杜子春は、老人に弟子入りを志願する。そう、老人はただびとではない、仙人だったのだ。

老人に連れられ、峨眉山で仙人の修行を始めた杜子春。「何があっても一言もしゃべらなければ仙人にしてやろう」と言われた彼の前には、様々な幻覚が立ち現れる。仙人になるため、稲妻に打たれても、神将の槍に突かれても彼は決して口を開かない。

地獄のエンマ大王の前に引きずり出されても黙り込む杜子春。しかし、馬の姿となった父と母が連れてこられ、目の前でむち打たれると動揺を隠せない。「私たちのことは良いから幸せになりなさい」という母の声を聞いた杜子春は、思わず「お母さん」と叫んでしまった。

仙人の修行は失敗したが、人間らしさを守れたことに杜子春は喜びを感じていた。それを見た老人は愉快そうに、1軒の家と畑を与えて彼のもとを立ち去るのだった。

 

小学校の頃、影絵劇で見た芥川龍之介の名作。

 

 

 

金の切れ目が縁の切れ目、

 

ではなく、

 

人間らしさ、情、他者への思いやり。

 

私たちは、あの頃学んだ大事なものをいつの間にか

忘れてしまってたのではないだろうか。

 

みんなで本当の幸せをもう一度築きあげよう!