初日は生憎の雨で作業が思う様に進まなかった。
海に面した宿に泊まった。
社員とヘルプの職人さんと3人。
夜は駅前の小さな居酒屋で食べた。
去年窪川に泊まりの時はもう1人職人さんが居て、
その職人さんの仕切りで仕事が回っていた。
その職人さんが9月2日に急逝した。
何か胸にポッカリ穴が空いたようで、
皆、レモンハイやハイボールを、
口数より多く呑んでいた。
思い出す度、辛いのだろう。
明日の現地の天気は、
朝10時くらいからは雨が降り出す予報。
7時に現場に到着し、作業を始める事にした。
雨が降ったら、かなり敗色濃厚な作業。
慌ててた。
雨が降り出す前までに終わらせねば。
作業中、高所作業車のエンジンが突如停止した。
高所作業車の上(アーム部分)を操作中にエンジン
がストップすると言う事はかなり由々しき事態!
社員に梯子で降りさせ見に行かせると、ガソリンが
エンプティの状態。
最低でもエア抜き作業、しかも腕を伸ばした状態の
まま。
これはヤバい。
そう思った瞬間、エンジンが掛かった。
奇跡的。
腕を格納できてすぐそこのガソスタで給油出来た。
絶対、伊藤さん(亡くなった職人さん)や。
「ガソリン入れとかな、コトやろげや」
「しゃんとせんけや」
って言われた気がした。
勝手に思うに、伊藤さんが現場が心配でそばにいて
くれて早めにエンジンを止めてくれたに違いない。
奇跡的に雨が降り出す前に全工程を終えれた。
作業が全て完了すると、見計ったかの様に、
雨が降り出した。
思ったよりだいぶ早めに帰路に着いた車内に落ちる
雨粒で曇ったフロントガラスと同じくらい、いつの
間にか目頭が熱くなってしまってた。
ありがとう。
貴重な経験や知識を教えてもらったおかげで、
何とか現場、カタ付けれたよ。
もうちょっと、シャンとしょうわい。
そうそう、若いしにも技術を伝えて。
何だか府に落ちて、吹っ切れた1泊2日の旅だった。